ミラー型ドライブレコーダーは壊れやすい?
ミラー型ドライブレコーダーは一般的な家電製品に比べ、壊れやすいという話をよく聞きます。
これはある意味真実です。理由を解説します。
なお下記は特定の機種、メーカー限定でなくミラー型ドライブレコーダー製品一般についてのものです。
高熱と冷気
まず、車に設置される製品は家庭で使われるのが前提の製品に比べ、かなり過酷な環境に置かれています。
夏場に屋外に駐車していて、運転しようと車に乗り込んだらステアリングが熱くてしばらく触れなかった、という経験はありませんでしょうか。
真夏の車内は最高で摂氏70度以上にまで達します。
電子機器は原理的に高熱に弱く、例えばスマホなら夏にダッシュボード上に置くとそれだけで高熱警告を発し、動作を停止してしまいます(iPhoneの動作温度は最高35度です)。1日放置すれば最悪バッテリーから発火のおそれすらあるほどです。
他に家庭用のプラスチック製品ならこの温度では溶けて変形してしまいますし、また生物なら真夏に1日車内に閉じ込められればほとんどが死んでしまいます。
しかも暑さだけではなく、真冬の車内は凍結するような寒さにもなります。北海道などではマイナス20度以下になるような状況もありえます。前述のような高温にさらされたかと思えば、凍り付くような環境にもなるわけです。
さらに真夏の暑さの直後にエアコンの冷気が機器に直接当たるような状況もあり、このような急激な温度変化は内部基板のひび割れ等の原因になります。
直射日光
また他の車載電子機器の多くはダッシュボード下に設置され直射日光を浴びずに済むのに対し、ドライブレコーダーの場合は直接日光にさらされますので、より高温になることはもちろん、紫外線による劣化もより進みやすくなります。サンシェードとフロントガラスに挟まれる状況になった場合は、実測で摂氏140度以上になることもあり、この場合は耐熱プラスチックでも溶解します。
ドライブレコーダーはそのような環境に毎日置かれています。もちろん車載用として設計されていますので、ある程度の高熱環境下でも動作できるように設計製造され、熱テストも行われたうえで出荷されています。ただしこれが毎日ですから、電子機器としては非常に過酷な環境と言えるでしょう。
使用頻度
またドライブレコーダーは多くの家電製品と比べ、使用頻度がかなり高くなります。自動車通勤をしている方ならほぼ毎日1時間程度は使用することになります。普通のビデオカメラを毎日撮影するという方は、それが仕事の方以外にはかなり少ないと思いますが、ドライブレコーダーの場合はほぼ毎日使用されることになります。
どのような製品でも使用により劣化が進みますから、使用頻度が高ければそれだけ劣化が早くなります。
さらに駐車監視を使用すると、実質的に24時間365日ほぼ休みなしで稼働し続けることになります。駐車監視中はエアコンもないため、前述の通り非常な高温下での連続稼働となりますから、機器によりダメージを与え劣化が早く進みます。
常時目に入る
さらにミラーカムのような「デジタルミラー型」のドライブレコーダーの場合、普通のドライブレコーダーよりも不具合と感じる状況が大幅に増えます。
普通のドライブレコーダーでしたら、多くはミラー裏などの普段は視界に入りにくい場所に設置されています。また毎日録画を行っているとはいえ、実際に操作されることもほとんどありません。ですから仮に故障していてもあまり気付かれず、事故が起きてドラレコの録画を確認しようとして初めて故障に気が付く、ということもよくあります。
これがミラーカムのようなデジタルミラー型ですと、運転時はほぼ常時スクリーンが目に入ることになります。毎日車通勤している方でしたら、毎日1時間程度はスクリーンを見ている状況になります。このような状況ですから故障があればすぐに気が付きます。
またデジタルミラーという製品性質上、普通のドラレコでは気にもされない点まで気になる場合があります。
例えば当社に寄せられるお問い合わせには「色合いがおかしい」「信号がちらつく」等もあります。一般的な(単に録画するだけの)ドラレコでしたらそのようなことは気にもされず気が付きもしないことが多いのですが、運転中常に映像を目にするデジタルミラーの場合は気にされてしまいます。また仮に電源電圧等の問題で「一瞬画面が消える」ような状況があった場合も、普通のドラレコでしたら気付きもしませんが、デジタルミラー型ではすぐに気付いてしまいます。
このような違いがありますので、一般的な家電製品や普通のドライブレコーダーと比べ、デジタルミラー型ドライブレコーダーは不具合と感じられることがどうしても多くなってしまいます。
ただ上記のように、過酷な使用環境でしかも毎日使用されるという状況にも関わらず長期に正常動作できるような設計になっており、実際にはむしろ一般製品よりも耐久性が高いものになっています。
またある意味不具合に気が付きやすいため、いざという時に録画されていなかった、という状況はむしろ普通のドラレコに比べ少なくなる可能性もあるでしょう。さらにデジタルミラー型ならすぐ手が届く位置にありますから、録画再生確認もすぐ行えます。
純正品と後付け非純正品の違い
なお車両の純正品として提供されるドライブレコーダーやデジタルミラーは、ミラーカムのような後付け汎用型に比べると耐久性という面ではより高いものの、性能面では低くなり、また価格も2~5倍以上等の大幅に高くなることがほとんど(ドライブレコーダー単体で5万円~、デジタルミラー単体で8万円~程度)です。つまり純正品は性能からするとコストパフォーマンスが低いと感じられることが多いでしょう。
これは車両純正品として提供するために、性能よりも耐久性を重視しているためです。車体メーカーからの性能要求としても、車両本体と同様に数年間は故障が起きないよう、非常に高いレベルの耐久性が求められます。このため技術的にはすでに安定した、実績のある(つまり性能的には過去のスペックの)部品を使って作られることになります。また求められる耐久性を確保するためテストを長期に膨大に行う必要があり、さらに一般の電子機器よりも長期にわたるサポートが必要になるため、その費用もかさみます。
この結果、純正品は後付け品よりもかなり割高になるものの、長期の使用に耐える耐久性を確保、またはより長期の製品サポートを実現しています。
(とはいえそれでも、車両本体に比べるとその寿命は短いです。ドラレコがなかなか標準装備化されないのは、車両本体と同レベルの耐久性を電装品特にドラレコで実現するのが難しいのが一因です)
しかし後付けのデジタルミラー型ドライブレコーダーの場合、利用者からも最新の技術を積極的に取り込んだ製品を期待されます。しかし最新の技術や頻繁なアップデートは、どうしてもその都度新たな不具合の種を抱えることになってしまいます。そのような状況で長期の製品保証を実現するにはサポートコストを製品価格に転嫁するしかありません。しかしもともと新製品が出ると買い替える利用者も多く、そのような方々にとっては純正品並みの長期使用を想定した価格上昇はむしろオーバースペックとなってしまいます。またパソコンやスマホを含む一般的な家電製品では、1年間の保証が一般的です。
保証期間と修理
「ミラーカム」では、上記のようなことから、保証期間は発送日から1年間とさせて頂いております。
現実的に初期不良といえる問題は1年もあれば出尽くし、夏の暑さや冬の寒さといった季節性の問題も1年で一回りすることになります。
それ以降に発生する問題は個別の使用環境に依存するケースが圧倒的に多く、例えば屋根付きガレージのあるサンデードライバーと、露天駐車で毎日通勤使用の方では機器に与える負荷がまったく異なります。このため自動車メーカーでも新車保証は期間だけでなく走行距離でも上限を設けています。
また当社製品では技術の進歩に伴い1年程度でモデルチェンジを行っていることもあり、1年間の保証が適切と考えています。
ただし保証期限経過後も、有償での修理は対応しております。当社製品はご自身でも容易に設置可能で、また部品単位の差し替えも簡単にできる構造になっています。正規購入者さまには1年の保証期限以降もパーツ単位で販売をしており、ご自身でも長期メンテナンス可能な製品構造とサポート体制となっております。
また仮に故障があった場合も、スクリーンをオフにすれば通常の鏡として使えますし、本体はゴムバンドでくくりつけているだけですから路肩に駐車して1分で外せます。これさえ憶えておけば、いざ故障した場合も落ち着いて対処できるでしょう。
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(サンシェードを使用すると想定以上に高熱になり、動作が停止したり耐久性に影響を与える場合があります)